2011年07月01日

健やかな睡眠とは

夜型の生活習慣による生活リズムの乱れや、ストレスに満ちた社会を反映してか、不眠に悩まされる人が増えているようです。厚生労働省がおこなった睡眠に関する調査によると、現代人の5人に1人が不眠症など睡眠に関する悩みを抱えていることがわかっています。
また、この中で、10人に1人が長期の不眠で悩んでいるという深刻な状況が浮かび上がっており、特に20〜40歳代の働き盛りの年代に多くみられます。理由としては、多忙で睡眠時間が十分にとれないという社会生活上の理由が最も多く、次に多かったのが精神的ストレスでした。
家庭、学校、職場、ありとあらゆる場所でさまざまなストレスにさらされている現代人にとって、「不眠症」は生活習慣病の一つといえるかもしれません。

睡眠の役割は脳のクールダウンです。脳はエネルギー消費が高いため、非常に壊れやすく、もろい部分です。元気な脳に回復するためには必ず睡眠は必要です。眠っている間に昼間の学習を記憶として定着させたり、不要な記憶の消去も行なわれたりすると考えられています。熟睡した深い眠りのノンレム睡眠は「脳の眠り」ともいわれ、眠りについて1〜2時間で、一晩のうちで一番深い眠りに入ります。呼吸や心臓の拍動は遅くなり血圧も下がります。体内の熱を発散させるため発汗作用が活発になり深部体温が約1度下がります。脳波は深い睡眠状態に現れるデルタ波で、脳が休息しているので揺り起こしてもなかなか起きません。その後「体の睡眠」といわれるレム睡眠に入ります。レムとは急速眼球運動(RapidEyeMovement)の略で目玉が動き、呼吸、拍動も増加し、血圧も少し高く体温も上昇します。脳波は浅い睡眠状態に現れるシータ波が主で脳は目覚めているときに近い状態です。体の緊張は解け、夢を見ることも多い眠りです。
子供の成長・疲労回復・美容などに重要

健康な人の場合、ノンレム睡眠とレム睡眠は90分周期で一晩に4〜5回交互に朝まで繰り返されます。睡眠に入る前は体温が一日の中で一番高くなり眠気を催します。寝入りばなの3時間、最初の2セットが非常に大切な時間です。これは睡眠が免疫力の増強と深くかかわっていて、脳下垂体から新陳代謝を活発にする成長ホルモンや免疫細胞の間の情報を伝達するサイトカインのインターフェロンやインターロイキンなどがこの時間に血液中に活発に分泌するためです。成長ホルモンは体の補修にとっては非常に大切で、疲労を回復したり、怪我を修復したり、体全体のダメージを回復する重要なホルモンです。このホルモンは成長期の子供には非常に大切で、眠りの深い子供ほど成長ホルモンがたくさん分泌されます。寝る子は育つといわれるゆえんです。

また皮膚の新陳代謝も促進するので女性にとっての美容にも深く関わります。深い睡眠は、体温が下がっていく過程で得られるため、ノンレム睡眠で体温を下げ、レム睡眠で体温を上げるというリズムをつくっていきます。睡眠中に何回も起こる発汗作用は体温を下げ、深い眠りを得ようとするためのものです。睡眠は前半はノンレム睡眠が集中し、時間が経つにつれて後半はレム睡眠が長く続くようになります。そうしてだんだんと目覚めに向かっていきます。ストレスから体を守る糖質の調整、血圧を正常に保つ副腎皮質ホルモン、コルチゾールも睡眠中に増加を始め、朝方に最高となり、目覚めた後の活動に備えます。

不眠症の原因と解消・改善
夜眠れない原因をいくつか列挙してみるとリウマチなどの身体的痛みが伴う場合にも眠れなくなりますし、薬物の副作用、統合性失調症・うつ病などの精神性疾患から夜眠れなくなることもあります。高血圧の方も眠れないと言われる方が多いようです。睡眠時無呼吸症候群を伴やいやすいことや、治療に使われる薬の副作用、血圧を高めているストレスの影響などが考えられています。
夜眠っている間、交感神経は活動を休め、血圧は低くなるように調整されていますが、夜眠れないというストレスが血圧にも悪影響を与え、悪循環に陥るケースです。また、糖尿病があると、のどの渇きがあったり、夜トイレに行くことが多くなりがちで、これらが眠りを妨げることがあります。睡眠の時間が短かったり、深い睡眠がとれないと、インスリンの働きが悪くなり、血糖値は高まります。

眠れない原因が比較的はっきりしている場合と、ストレスなど原因がよく分からない場合がありますが、病気の人や運動不足、高齢者の不眠症には大きく2つのタイプがあります。ひとつは交感神経緊張型の不眠症です。生活の精神的なストレスや、病気が原因の痛みやしびれ、かゆみ、だるさ、冷え、こりなどの症状もストレスになり、その不安からますます眠れなくなるということがあります。すべての高齢者に当てはまるわけではありませんが、加齢につれて脳内の睡眠中枢の働きが衰えたり、眠りを誘うホルモンであるメラトニンの分泌量も減少するため、全般に眠りが浅く、長続きしないと言われています。年齢とともに夜中のトイレの回数が増え、なかなか眠れないという方は下半身の冷えが原因です。下半身を暖めることで改善が期待出来ます。

もうひとつの原因は副交感神経緊張型の不眠症です。昼間に体を動かしたり、運動をしないため体が疲れないので眠れないというものです。血液の循環が悪くなる原因のひとつは筋力の衰えにあります。運動は筋力を発達させることで新陳代謝を促し、細胞の活性化を図ります。体のだるさで眠れない方は筋力低下による血行不良が考えられます。副交感神経緊張型の不眠症の対策はなんといっても運動をすることです。原因の異なる不眠症ですが、すべて睡眠薬や抗不安剤、睡眠導入剤で解決されてしまいます。こうした薬の働き方は、脳に働きかけて神経伝達ブロックという仕組みで眠らせてしまうやり方で、脳に働きかけるため、必ず興奮状態が残り、いずれも薬によって交感神経緊張型になってしまいます。睡眠薬の副作用は、日中の倦怠感や筋弛緩作用のための転倒、血栓や肝機能障害などと、常用は大変危険です。また依存性の強い薬なので、突然止めると飲む前より眠れなくなることもあります。薬による「不眠症の解消」という考え方は極力避けましょう。

良質な睡眠
私たち体温(体の中心の体温)は、日中は高く、睡眠中は低くなるというリズムがあり、夜になると中心の熱を全身に発散して冷まし、眠りやすい状態にします。ただしこの時に寝室の温度や湿度が高いと熱がうまく発散されず、寝苦しくなることがあります。
梅雨は夏ほど気温は高くないものの、湿度が高いために同じような状態になることがあります。

快適に眠るためには、梅雨から夏の間は、室温26度前後、湿度50〜60%を保つように工夫しましょう。同じ温度でも湿度が低くなると快適度が増すので、梅雨の時期は通気を心がけ、湿気を下げましょう。洗濯物やぬれたものは寝室に持ち込まない。観葉植物は多く置かないといったことの他、寝具についても次のようなことに気をつけましょう。湿気は寝苦しくなるだけでなく、ダニ(ダニは湿気の他、フケ、ホコリが好き)やカビの原因にもなるので、寝室や寝具は常に乾燥・清潔を心がけましょう。布団は、汗やフケなどで汚れやすく、ダニが発生しやすいので要注意です。
カビやダニ、室内の有害化学物質は、さまざまなアレルギー疾患を引き起こし、またせっかく病気やアレルギーの治療をしていても寝ている間にそれらを吸い込んでしまうようではいつまでたっても治りません。睡眠環境を整え、良質な睡眠で免疫力を強化することが健康維持への早道です。
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posted by 東出孝治 at 02:23| Comment(0) | TrackBack(0) | 睡眠 | 更新情報をチェックする
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